室内墓

メリット、デメリットを検討してお墓を室内墓、室内霊園に決めた

先日、「車椅子ではお墓詣りが出来ない!?」ということを書いた。

現在、治療院に入っている父の病状が悪く、先日、担当の医師から、それに対しての治療は輸血だけ、でも、もう血管が細くなり、輸血が出来ない、と告げられた。つまり、治療はもう出来ない、ということである。

それを聞いたのが、2021年の暮れである。そして、年明けぐらいには、かなり厳しい状態になる可能性がある。と。

つまり、もう長くない、ということである。

父はもう90歳を過ぎている。

1か月ほど前は、車椅子で移動、食事が出来ていたが、その後、血液の状態が悪くなり、輸血をしてしのいでいたが、もうそれも出来ない、ということになってしまった。

もう、覚悟はできている。だから、なるべくつらい思いをしないようにさせてあげてほしい、と医師には伝えた。

年が明けた今、寝たきりの状態となり、しゃべるけど、聞き取れないような話し方しかできなくなってきた。

父には申し訳ないが、その時が遠くない未来に来る、ということを覚悟して、その時のためのことを調べておくことにした。

そんな中で、現在うちの家のお墓を考えた時に、車椅子ではお墓参りも出来ない、ということが気になってしまったのだ。

でも、一応そのお寺に、父のその時が来たらどうすれば良いのか電話で聞いてみた。

父が入っている治療院は千葉市、お墓があるお寺は市川、それほど遠くはないと思うが、そのお寺の住職からは、そんな遠いところだと、迎えに来てもらわないと、お経をあげには行けない、と言われた。

また、その時は戒名を付けるが、6文字で30万円、7文字で50万円、9文字で70万円とのこと。その他、なんだかんだで100万円は超える費用がかかることもわかった。

そして、その寺の住職に戒名を付けてもらわないと、その寺のお墓へは入れられない、とも言われた。

正直、その金額もそうだが、住職の応対にも、あまり良い気持ちはしなかった。こんな対応のお寺に納めるのか?と。

しかも、お墓までたどり着くには狭い未舗装の通路を歩く必要があり、車椅子はもちろん使えず、足の悪い人もかなり苦労するようなところになっている。

場所も、以前は市川に住んでいたが、今は違い、お寺がある場所は交通の便も悪い。

そこで、お墓を別のところへ移転することも考えた。でも、その場合、今のところを墓仕じまいしないといけない。

それはそれでお金がかかるし、このお寺とまたそれで交渉するのは面倒だ。

そんなことでいろいろと調べ、考えた結果、今のお墓はそのままに、新しくお墓を持つことにした。

と言っても、新しくお墓をつくる、ということではなく、正確にいうと、納骨する場所とお参りできる権利を買った、ということになるのかもしれない。

それは、室内墓、室内霊園、というもの。

そのメリットとデメリットを考えた結果、それが結論となったのだ。

室内墓、室内霊園とはどういうお墓か?

室内でも、屋外の普通のお墓のように、そのお墓の場所を買う、というところもあるみたいだが、一般には、その場所を買うというのではなく、そこにお骨を安置してもらい、お参りが出来る権利を買う、というようなことになるのではないだろうか。

その場合も、タイプが2つある。

  1. ロッカー型納骨堂
  2. 自動搬送式納骨堂

ロッカー型の場合は、ロッカーのようなスペースに納骨して、そこでお参りが出来るタイプが一般的なようだ。

自動搬送式は、現代ならではのもので、立体駐車場のような仕組みの納骨堂である。具体的には、倉庫のように一つ一つの骨壺が入るスペースがあり、お参りするときは、そのスペースが自動で搬送されてお参り場所へ来てくれる、というものである。

今回選んだのは、後者の自動搬送式納骨堂である。

そこは、見た目はお墓、というスペースがいくつかあり、それも、洋型、和形と2通りあり、それぞれにいくつかのお墓が並んでいるように見える場所がある。

お参りに行くと、そのいくつかあるお墓スペースのどれかに、骨壺が入ったスペースが自動的に運ばれる。そして、どのお墓のところに来るかが指示されて、その指示されたお墓のところにお参りに行くのである。

そのいくつかあるお墓のようなところは、結構ゆとりがあるスペースで、本当のお墓のように一見見える。

でも、お骨は納骨堂の中から自動的に搬送されて、その指定されたお墓のところに来るようになっているのだ。

だから、お参りする日によって、そのお参りするお墓のようなスペースの場所が変わる。

そういう意味で、一般的なお墓のようにその土地を買って、そこにお墓を立てるのではなく、納骨してもらい、お参りをする権利を買う、というような表現になってしまったのだ。

そこは、建物の中ですべて完結するようになっていて、一般的なお寺のお墓や、屋外の霊園とは全く違った雰囲気である。

建物も新しいせいか、入ったところはホテルのロビーのようである。

その受付のところで、専用のカードをかざすと、どのお墓スペースにお骨が運ばれるか指示されるので、その場所のお墓スペースにお参りに行くのである。

お墓スペースはけっこう広く、今ある前述のお寺のお墓の10倍ぐらいのスペースがある。そして、綺麗だ。

とは言っても、そこは自分のお墓ではなく、別の人が前にお参りして、次は他の人がお参りするような形になる。

そこを割り切れば、一般的なお寺のお墓まもちろん、ちょっと小ぎれいな屋外の霊園のお墓よりも綺麗だと思う。

そこをどう考えるかが、室内墓、室内霊園を選ぶかどうかの考え方の違いになるだろう。

僕たちは、その屋内墓のメリットを強く感じたので、そこに決めたが、そのメリットについて、紹介したいと思う。

室内墓、室内霊園のメリット

全ての室内墓、室内霊園を知っているわけではないので、とりあえず、今回決めた室内墓について、そのメリットをあげてみる。

  • バリアフリーで、車いすでもお参りが出来る。
  • 雨でも雪でもそこに行きさえすれば、お参りに天候は関係ない。
  • お墓の手入れは、全く必要ないけど、常に綺麗なところでお参りが出来る。
  • お花やお線香を持っていく必要がなく、気軽にいつでも手ぶらで行ってお参りが出来る。
  • 建物自体が現代的で綺麗である。
  • 最寄駅から歩いて3分ぐらい、駐車場も30代のスペースがあるのでアクセス的にもとても良い。
  • お墓を買うよりも費用が安い。(現在あるお墓へ納骨することに比べても)
  • 宗派にとらわれない。

ざぁーっと考えてみても以上のようなことがすぐに考えられる。

まず、車いすでも問題なくお参りが出来る、これが大事だった。

そこへ行くことさえできれば、天候に関係なくお参りが出来て、手ぶらで気軽にお参りが出来るのだ。

まだ、出来て4年とのことんなので、建物もきれいだし、ロビーもホテルのようだし、お参りするスペース、中庭もきれいである。

法要や食事も出来るところがあるので、必要であれば、そこで完結することが出来る。

アクセスが良い、駐車場が広いなどもあり、こういったメリットを次のデメリットよりも強く感じたのでここに決めた。

でも、デメリットと考えられることもある。

室内墓、室内霊園のデメリットになり得ること

こういった室内墓、室内霊園には、人によっては受け入れられない、というデメリットと感じられるところもあるかもしれない。

  • その家固有のお墓ではない。
  • 宗派を特定したお墓ではない。
  • 自動搬送など、モノのように扱われる。

こういった見方、考え方をする人もいると思う。それは、その人の考え方次第だから、否定はしない。

もし僕たちが、もっと宗教にこだわる人間だったら、そうなったかもしれない。

でも、僕らは、仏様はお参りするが、神様も神社でお参りして、ハロウィンやクリスマスといったイベントもやる、という一応、お寺には、●●宗というのは知っているが、それほどのこだわりはない。

それに、法要の時は、その人あるいは家の宗派に合わせたお坊さんが来てくれるとのことである。

お参りする場所は、自分たちの家のお墓ではない、それが嫌な人もいるかもしれない。

自動搬送でお骨が運ばれてくることに、違和感を感じる人もいるかもしれない。

でも、僕らはそれを割り切って考えられ、それらデメリットとなるようなことよりも、前述のメリットの方がはるかに大きいと感じた。

室内墓、室内霊園はメリットの方がデメリットよりもはるかに大きいと感じた

だから、この室内墓に決めたのである。

順番から言えば、まずは両親に入ってもらい、その後僕が入ることになるわけだけど、もし、今あるお寺のお墓だったら、車いすでのお墓参りが出来ないばかりではなく、交通の便も悪いので、お参りに行ったり、お参りに来てもらったりするのも一仕事になってしまう。

でも、この室内墓であれば、気軽に来てもらうことが出来る。

それが一番大事ではないだろうか、と僕は思う。

だから、親のためということもあるけれど、結局は、自分のためにここに決めた、と言ってもいいのかもしれない。

今後の費用は、納骨するときと、毎年の年会費が1万円ちょっとである。

継承者がいなくなり、年会費が3年納められなくなった場合は、お骨は合同納骨とされるそうで、その場所もベランダのような中庭のようなきれいな庭園のようなところにあった。

そうなったらそれでいいと思っている。

今は、まだ父は持ちこたえている。その時を迎える前に決めてよかったと思っている。

そしていつの日か、僕もここに入るんだな、と。