
映画「空海」、レビューは賛否両論だったが・・・
「空海」正確には「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」を観た。
この映画のレビューでは、賛否両方があり、どちらかというと否の方が多いようである。
確かにそれもわかるように思う。レビューでもけっこう指摘されていたが、題名の「空海」は少し誤解を与えるように思う。
原題は「 妖猫伝 Legend of the Demon 」である。この題名の方がレビューの評価も上がったのではないかと思う。
空海は確かに主役なのかもしれないけど、ストーリーは空海にかかわるような内容ではないからね。
実質的な主役は猫、という感じである。
でも僕の感想は、とても面白かった。星を付けるとしたら4つぐらいかな。
やはりレビューでも多かったが、吹き替え版ではなく、字幕でいいので中国語版を見たかった。
レビューで中国語版も上映されるようなことも書いてあったので調べたら、確かにそういう情報があった。
3月24日(土)より全国19劇場にてインターナショナル版(中国語音声/日本語字幕版)の上映が決定しているようだ。
字幕版が上映されたらまた見たいというレビューもあったが、確かに僕も見たい。見られるかどうかはわからないが。
映像は綺麗だったし、もう一度見るともっと内容が理解できそうだし。
ただし、日本語吹替版もそのキャストはかなりの豪華メンバーだ。
空海の相棒となる高橋一生さん、吉田羊さん、東出昌大さん、イッセー尾形さん、六平直政さん、六角精児さん、金田明夫さんなど毎日のようにテレビで見ている今を時めく人気俳優さんが勢ぞろいしている。
特にファンというわけではなくても、この名前を見れば、吹替版の方がいい、という方もいるだろう。
ということで、映画の内容については、ネタばれになってしまうのでこれ以上書くのはやめよう。まぁ、このブログが見る人はいないだろうけど。
ただ、この映画で初めて、空海と楊貴妃が近い時代に生きていたこと、また李白が楊貴妃と同じ時代の人だったことを知った。
そこだけ、少し調べてみたので、忘備録として簡単に残しておこう。
空海の生きた時代
西暦774年から835年、これが空海の生きていた時代と言われている。61歳で亡くなったということであろうか。今から約1,200年前である。
日本人なら知らない人はいないだろうというくらい、その知名度は高いのではないだろうか。
あるいは空海は知らなくても弘法大師は聞いたことがある、という人も中に入るだろうか。
空海は真言宗の開祖であるが、宗派を超えて最もファンの多い宗派の開祖ではないだろうか。
ということで、一般的に知られている空海は、ある種SFのヒーロー的なところもあるようだが、映画「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」では、妖術を使う白龍と丹龍はまさにSF的な術を披露しているが、空海自身はそんなSF的な能力は示していない。
しかし、ずば抜けて優れた能力を持った人間であったことは間違いないだろう。
そして、高野山の奥の院の霊廟において現在も空海が禅定を続けている、つまり生きていると信じられているそうだ。
さて、空海は実際に遣唐使として唐に行っているとのことである。
実際に唐に渡ったのが西暦804年(延暦23年)、日本に戻ったのが西暦806年(延暦25年)と言われている。
ちなみに空海が唐に渡った時、最澄も唐に渡っているということを初めて知った。歴史に詳しい人には常識なのかもしれないが、僕は知らなかった、もしくは知っていたけど忘れてしまったのかもしれない。
この時の遣唐使は4つの船で日本から出向したそうだが、結果的に唐までたどり着けたのは2つの船だけだったそうだ。
そのうちの1つの船に最澄が乗っており、もう1つに空海が乗船していた。しかし、その空海が乗船していた船も途中の嵐により漂流、なんとか唐に漂着したということである。
後の2つの船は遭難して唐にたどり着くことは出来なかった。
もし、空海が遭難した船に乗っていたら、また最澄が遭難していたらどうなったのか。また、遭難した船にももしかしたら空海に勝るとも劣らない人材が乗っていたかもしれない。その人物が無事に唐に到着し学び、日本に戻っていたら、今の仏教は違うものになっていたのか、このことだけを考えても、ちょっとした運命の違いで、歴史は変わっていたかもしれない、そのちょっとしたことの積み重ねで今の日本がある、と思うと何かとても不思議な感覚に陥ってしまう。
ま、それはともかく、空海が唐に滞在してたのは、わずか2年ぐらいということになる。
2年足らずの間にいろいろなことを学び取ると同時に、唐でもその2年の間にその存在感を示していたと言われている。
まさに超人である。
日本に戻ってからの空海の逸話、伝承は全国至る所にあり、弘法大使がみつけたとされる温泉もたくさんある。実際にどうだったかはともかく、それくらい帰国してからの業績にはことかかない、それだけ人々に愛された人物であったのだろう。
でも、空海があの楊貴妃と関りが映画のようになんらかのかかわりがあったのだろうか。
空海と楊貴妃との関り
楊貴妃が生きていたのは西暦719年から756年である。空海は774年の生まれと言われているので、空海が生まれる18年前に楊貴妃は亡くなっていることになる。
従って、空海と楊貴妃が直接会ったことはないようだ。
直接的な空海と楊貴妃とのかかわりも空海の数ある伝承の中であまり聞いたことはなかった。
楊貴妃は、歴史的には楊貴妃の実家である楊家とそれに反感を持つ勢力との争いから起こった安史の乱で窮地に立った玄宗に自害を求められ、それに素直に応じてその命を絶ったと言われている。
しかし、その時に実は楊貴妃を慕う勢力が楊貴妃は亡くなったと見せかけて、実は楊貴妃を船で唐から国外に逃がしていた、という説があるようなのだ。
そして、その逃げた先は日本だったというのである。
あの楊貴妃が実は日本にわたっていたという「楊貴妃渡来説」、もし、それが本当ならこれまた何かどきどきするような話である。
そして、その楊貴妃の渡来にかかわったのが空海の母方の実家である阿刀氏だということで、それがゆえに、空海はその楊貴妃のことを調べるために唐に使わされた、という説があるのだという。
もちろん、真偽のほどはわからないし、それを証明するものもあるとは思えない。
でも、実際の歴史がどうだったか、現在の僕たちにはわからない。いろいろと調べている人もいるけど、真実にたどり着くのは難しいだろう。
歴史とはそういうものだと思うし、だからこそ、歴史は人を引き付けるのではないだろうか。
いろいろな仮説を立て、想像することが出来る。
それも、しっかりとした資料が残っていないからだろう。
しかし、1000年後の未来に、西暦2,000年ごろを振り返った時にはどうなのだろう。
おそらくたくさんの資料が残っているだろう。いろいろなデータ、写真、映像、文献、もしかしたら容易に1,000年前の日本を想像できるのかもしれない。
でも、現在でも例えば政治の世界の真実は、庶民には全く見えないところがある。
もしかしたら、この部分はいつの世になっても確たる事実がいつになっても隠される世界なのかもしれない。
また、もし、万が一、第3次世界大戦が勃発し、それが核戦争となったら、まさにSFの世界が現実のものとなってしまう可能性だったないとは言えない。
そうなったら、人類の歴史がまた、専念どころか、紀元前レベルにまで戻ってしまうことだってあるかもしれない。
そうならないように、1,000年後でも、西暦2,000年のころの日本がどうであったか、しっかりと記録に残っているような世界であってほしい。
もし、タイムマシンがあるならば、空海の生きた世界を実際に見てみたい。また、千年後の日本がどうなっているのか見てみたい。