
飲食業の人出不足は深刻なようだ
ちょうど1年前、4月の末で警備員のバイトを辞めた。
辞めた理由は、かみさんが体調を崩して本業の店舗の仕事にもう少しかかわる必要があったことである。
夜勤だったら昼間の仕事は出来ると思ったが、実際には寝る時間もあるので、難しい面があった尾である。
そこで、夕方から深夜にできる仕事を探して見つけたのが、このファミレスであった。
ゴールデンウィークの少し前にバイト情報サイトでこのバイトを見つけたのである。
バイトの面接ではその店の店長が対応したのだが、それがちょうどゴールデンウィークの直前だった。
あまり年齢のことはこだわっていないようで、即採用が決まった。
背景には飲食業での人手不足があるのだろう。
そしてゴールデンウィーク明けからの出勤となったのだが、店長が言うには、今年に入って休んだのは1日だけ、3月の初めごろに1日休んだ以外は、全て出勤していたそうだ。
僕は夕方から深夜までを希望していたので、店長曰く、「これで1時前に帰れるかな」、もちろん1時とは、夜中の1時である。
ちなみに、このファミレスはラストオーダーが夜中の1時、閉店時間が夜中の2時である。
つまりラストオーダーが張らなければ、その後の閉店作業は僕に任せられる、ということである。
そんな時間に帰っているということは、店長の出勤時間は何時なんだろう、と思い、聞いてみたらだいたい午前中の10時から11時ぐらいとのこと。
ということは、全く休みなしで、休憩時間を除いたとしても毎日12時間以上は働いていることになる。
全くのブラックではないか。
最近、過剰な時間外労働がニュースになり、社会問題となっているが、そんなもんじゃないのである。
でも、そうしなけれあお店が回らない、ということだろう。
しかし、僕より少し前にやはり夕方から深夜を希望するバイトが入ったようで、5月の終わりぐらいからは、週に1日ぐらいは店長も休むようになったようである。
それくらい、飲食業の人で不足は深刻なようだ。
ちなみに、僕の少し前に入ったバイトは、大学生である。
基本的には、バイトは学生が多いのである。
このお店は、ある激安を売りにするホームセンター的なお店の中に入っているテナントである。
本来、このファミレスは24時間営業が基本であるようだが、ここはテナントなので、ホームセンターの営業時間にこのファミレスも夜中は閉めざるを得ないようだ。
そして、このホームセンターが出来たのが、一昨年の11月頃、したがって、昨年のゴールデンウィークというとまだ開業してから半年ほどのようだ。
そういうこともあって、さらに人で不足という状況のため、店長は休みなしでの長時間勤務を強いられたようである。
ただし、店長はそれが仕事でそれを愚痴にはしていないようだった。
もっとも、僕も以前勤めていた会社で採用担当をしていた頃は、朝7時には出勤して夜はほぼ毎日終電、またはそれを過ぎてタクシー、という状態、しかも土日もほぼ出勤、年間での休日が10日ぐらい、という経験をしたこともある。
その時は、仕事がとてもやりがいがあったので、ほとんど苦にならなかった。それと同じなんだろう。
でも、結果的にそれが家族にとても迷惑がかかってしまったのだけれど。
このファミレスでのキッチンの仕事
さて、話がだいぶそれてしまったが、このファミレスの仕事がどんなものなのか、忘備録として記録しておこう。
キッチンなので、基本はお客様が注文されされた料理を作ることである。
料理と言っても、ほとんどが冷凍されているので、それを揚げたり、焼いたり、レンジで温めるだけである。
各メニューの作り方はマニュアルがあるのでそれにしたがって作るのである。
ただし、メニューの数はそれなりに一杯あるので、それを覚えるのがとても大変だった。
マニュアルがあると言っても、実際に注文が入った時にそれを見ながら作る余裕はほとんどない。
揚げたり、焼いたり、レンジで温めるだけと言っても、食材によって、それぞれ時間が違う。
また、メニューによって食材の組み合わせがいろいろとある。
それがなかなか覚えられないのである。
まずは、簡単なサラダを覚えろと言われて覚えたが、注文が一気に入ると組み合わせがすぐに思い出せないこともあり、大変である。
さらに、複数のオーダーが入ると、並行していくつかの料理を作らなければいけない。
そうなると、もう頭はパニックになってしまい、最初のうちはとてもひとりで対応できるような状態にはなれなかった。
もともと料理が好きだったので、キッチンをやろうと思ったのであるが、そんな甘いものではなかった。
また、キッチンの仕事は料理を作るだけではない。
当然ながら皿洗いもある。しかし、昔と違い、ディッシュウォッシャーで洗うのである。
とはいっても、これまたけっこう大変な作業なのだ。
夕方出勤するとほぼ毎日、たくさんの食後の食器が溜まっている。
ディッシュウォッシャーを使うと入っても、1回に洗える量は決まっているし、汚れた食器をそのまま入れるわけにはいかない。
ある程度汚れを落としたり、特にご飯粒などは固まっているので少しキッチンの浴槽につけてから落とす必要がある。
これも慣れないと時間がかかるのである。
また、冷凍の食材が多いが、実際に使う前にはそれらを解凍しておく必要がある。
冷凍自体にも消費期限があるので、そのチェックをする必要があり、また解凍した食材はさらに消費期限が短くなるので、その管理、チェックをしなければならない。
廃棄食材には心が痛んだ
そして重要なのがお米を炊くことである。
ファミレスなのでご飯がなくなると、話にならない。
常に炊かれたお米が必要である。
ただし、これも炊いておける量には制限がある。
店長がその日の需要予測をしながら、タイミングを見て、お米を炊く指示を出すのである。
特に夕方以降はその予測が難しい。
その日の夕方以降、どのくらいのお客さんがくるかは、確実な予想をすることは不可能である。
そして夜中の2次には閉店するので、余ったご飯は廃棄しなければならない。
したがって、あまり炊きすぎると廃棄するご飯が増えてしまう。
といって少ないと、お客さんが来た時にご飯が出せないことになってしまう。
どちらを優先するかというと、注文に応えることなので、どうしても、まだ食べられるご飯が毎日廃棄されることになってしまうのである。
それはもったいないというより、店舗としてはコストのアップとなるのでできるだけ避けなければならない。
したがって、どのくらいの量をいつ炊くかは、けっこう重要であり、難しいのである。
閉店時にそういったご飯を含めて、翌日まで消費期限の持たない物は廃棄するのであるが、とても罪悪感を家事ながら廃棄していたのが現実である。
日本中の多くの飲食店でこのように大量の食べられる食材が毎日のように捨てられている、と思うとなんとかならないものか、というより恐ろしい気がする。
閉店作業は時間との闘いだった
で、その閉店は夜中の2時なのだが、ホームセンター自体は夜中の1時に閉店となるのである。
ということからか、テナントの従業員も2時15分までにはその建物から出なければならない。
2時に閉店で2時15分までには着替えて退館しなければいけないのである。
ラストオーダーが1時なので、その後は大変である。
洗い残した食器をディッシュウォッシャーで洗い、キッチン周りの掃除をして、廃棄する食材の量のチェック、そして廃棄、ガスの元栓を占めるなどなど、閉店までいやることがたくさんあり、ラストオーダーぎりぎりまで注文が入った場合は、もう大変である。
そうでなくても大変で、とにかく12時を過ぎたあたりから閉店の作業を始めるのだが、そこからは時間との闘い、狭いキッチンの中を早歩きで動き回ることになるのである。
もし、2時15分までに退出出来ないと、問題になるらしくそれだけは絶対に避けるように言われているのである。
閉店時間が2時で、しっかりと閉店作業をして2時15分までに退出しろとは、もともとが無理な設定だと思うのだが。
おかげで、バイトの日はバイトのない日よりも体重が2㎏ぐらい減っている時もあるのであった。
でも、そのお蔭で体重が低いところで維持できていたようである。
バイト期間中、65~7㎏台前後で推移していた体重がこのバイトを辞めた1か月語には70㎏を超えてしまったので、バイトのダイエット効果はけっこうあったのだ。
ということで、5月から始めたこのファミレスのキッチンのバイトも、家庭内の事情によって8月末で辞めることになったのである。
約4か月という短い期間ではあったが、いろいろと勉強になった。
警備のバイトも想像以上に大変なものだったが、このファミレスのキッチンよりは少しは楽だったように思う。
もっとも、このバイトももう少し続けて慣れてくれば、もっと楽になるとは思うのだが。
まぁ、50代後半でのバイト探しでは、選択肢も少なく、その少ない選択肢の一つがファミレスのキッチンということなのだ。